2005年2月5日土曜日

ルノーのデザイン戦略と、リミックス文化への批判

ルノーのデザインチーフ、Patrick Le Quémentが、現在のルノーのデザイン戦略について語っている

記事自体は薄っぺらだが、最後に語った彼のヒトコトはとても気になった;「(他メーカーのような)“過去の遺産”のリデザインは行わない。我々は常に前を向いていく」。

彼はそこまで語っていないが、そもそも「過去のリデザイン」というのは、まず音楽からスタートしたサンプリング&リミックス文化;つまりかっこいいフレーズをちょいと拝借して、ground beat(古)に載せるような(安易な)方法論一般を指していると思う。ことクルマのデザインでいうならば、過去の金字塔的なモデルの一部や全体のモチーフをつかって、名前までそのまま使って新しいモデルを作ることになる。

でもこれって、過去のものをひたすら掘りつづけて、ひたすらレアグルーヴに向かうだけで、次世代がリミックスを行うことができる「オリジナル」は生み出していないから、結果的に進歩していない。このような活動全体に対して、もともと彼はフランス人だから、リミックス文化=アメリカ主導的文化に対する自分達の立ち位置を示して、チクリと言いたかったのではないか。



僕自身もずっと「過去のリデザイン」に対して批判的な立場をとってきたが、実際のマーケットにはそのようなものが溢れている。

クルマなら、現行Mini、Ford Thuderbird/GT40など枚挙にいとまがないし、先日までGucciのクリエイティブディレクターだったTom Fordだって、過去のラインナップをちょっとデフォルメしただけで、Gucciのクラフツマンシップの上にあぐらをかいていたのではないか。

過去のリデザインがなぜこうもはびこってきたかというと、既に知っているフレーズが聞こえるだけで消費者の心理的バリアが外れるようなマーケティング面での即効性、過去の成功例に根ざした「堅い」セールスが見込める費用対効果、ブランドの将来価値を過去の成功例でフリーズさせる可能性があっても現在価値をmaximizeさせる方を選ぶ短期的業績効果の、主には3つのメリットが予測可能だからだ。でも、その3点のいずれもが経営管理的価値に根ざしたものであって、ブランドの永続的価値やそのようなものを生み出すクリエイティビティへの敬意はあまり感じられない。そのブランドが下降線になれば、みんなで脱出するか売却するか、ということになる。

90年代中盤以降ルノーは、独創的で斬新なデザインを押し出してきていて、幸い現行のメガーヌなどはフランスでもかなり好評を博している。同社傘下の日産が、同じくモダンなデザインを前面に出して、三河の会社をイナカモノに見せるように努力していることは、ご存知の通りである。

新しいデザインを生み出すことで、常に前進するルノーのデザイン戦略には賛成だが、これまでの成功要因の一端はフランス人の新しいデザインに対する受容力の深さによるものと思う。果たして日本人はどうなのかしら。


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