2005年3月1日火曜日

トヨタがF1でみる夢は何なのか

トヨタは改装なった富士スピードウェイのメディアへのお披露目を行い、2006年以降のF1招致への名乗りを事実上挙げた。今後は、2006年までの開催権をもつ鈴鹿サーキット(ホンダ傘下)との招致合戦が激化するだろう。

ところで、このニュースを見て率直に感じたのは、トヨタと本田の間に際立って異なるスタンスの違いがあるということ。

それは、平たいコトバでいうなら、F1に対する夢の見方であり、あるいは目的の持ち方の違いだ。

このような観点から、この2社を比べてみたい。



まず先にトヨタから。

いきなり結論めいた書き方になるが、数々の発言や行われてきたことを判断するに、トヨタにとってのF1は、所詮広告宣伝費の一部以上の意味はないようだ。

例えばTMG(トヨタのF1の実行主体)の社長にインタビューしても「ヨーロッパで5%シェアが延びた、ワカモノを中心にモータースポーツ活動の認知率が倍になった。」という、ビジネス上のkey performance indexの強調ばかり。F1に架ける純粋な夢を、少なくとも表向き感じさせてくれない。

もうひとつ気になるのは、F1という西欧(貴族)社会の縮図のようなものに対する敬意というものをトヨタがどれだけ払おうとしているのかということ。トヨタのF1参入のビジョンを読むと、トヨタイズムをもってすればF1だって目じゃないと言っているように読めてしまう。現にLexusが高品質をもっていくつかの高級車メーカーのマーケットを侵食して、世の中のクルマを均質でつまらない方向に押しやっているが、それによって得た自信がF1への挑戦を決意させているのではなかろうか。

以前フジテレビの特番で見たのだが、トヨタの生産現場のエキスパートが、よりにもよって工員服姿でF1のピットストップを「トヨタ式カイゼン」よろしくストップウォッチで作業効率化を図っているいる姿には違和感を覚えた。これって、考えようによってはF1文化への最大の侮辱ではないだろうか。その一方でFerrariが世界最速のピット作業を実現しているのだから、胸もすくというものだ。

トヨタはF1参入にあたって、ドイツのケルンに巨額を投じて運営会社とファクトリーを立ち上げ、第一線級のスタッフを雇いあげ、「勝てるパッケージ」を手に入れた。ところが結果は、まだ全然である。モータースポーツというものにまだなけなしのロマンを感じるひとりのエンスージアストとしては、大会社のビジネスのためのF1というものの味気なさに対するスタンスは明確にしておきたいと思う。

ワカモノを取り込むための販促企画としてのF1、世界最高の量産経営システムの適用による、世界最速のF1。考えるだにつまらないではないか。


別に僕はホンダ・シンパではないけれども、こと2004年秋の雑誌Numberで読んだ、Honda F1のチーム統括者(名前や役職は失念)のヒトコトに共感を覚えた。曰く、F1は所詮西洋の貴族社会に起源があり、そこに東洋人であるホンダが土足で上がりこんで荒らして帰るつもりは毛頭ない。長い時間を掛けて共存してゆく、というようなことだったと記憶している。このようにF1の歴史やあり方にリスペクトを払った発言は、とても好ましく思う。そして、そのような発言の端々から、ホンダのF1に対する夢や目的の持ち方を感じ取ることができる。


そういえば、台場のトヨタMEGA WEBを作るときに「150億円用意するから、苦手なワカモノを取り込める企画を用意してくれ」って話が落っこってきたことがあるが、あれと同じだ。結局、ハコモノ業者が適当な企画をこしらえて、あのような施設ができたが、ワカモノの取り込みに成功したとはとても思えない。そもそもちょっとやそっとの小細工でワカモノを取り込もうというのは、いささかあざとくはありませんでしょうか。


2 件のコメント:

  1. あれは、トヨタという会社のVPですよね。そのVPをドラマとしてフジテレビが送り出しているだけ。出演者も主演の二人がCM出演しているわけだし。
    トヨタは、愛も変わらずフィロソフィーの無い車を次々に送り出しているわけで、F1を通して欧州の車作りのエッセンスを学べてる気配は皆無ですね。
    生産工程のフィロソフィーである「カイゼン」「カンバン方式」はすばらしいとは思うけれど「何を作るか」というところは、ずーっと希薄です。日本で一番売れている車が、これですから日本人のクルマ音痴は、絶対になおらないし良くならない。寂しいことです。

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  2. 月9「エンジン」って、裏のタイアップ構造が見え透いちゃってますが、みなさん気にならないんでしょうかね。
    トヨタという会社がどういうマーケをやろうと構わないんですが、問題なのは、そういうやりかたに国民の50%(というか日本の新車購入者の50%)が踊らされちゃってるのではないかということ。
    何かおかしいぞって、自分の頭や感性で考えたフィロソフィーを貫かないと、結局はヒトに騙されているのと同じですからね。
    サラリーマンやっているのでわかるんですが、日本のサラリーマンの作ったものは(できるだけ)買わない(笑)ってこと。タマシイが詰まってるわけないんですから、期待しちゃあいけない(爆)。

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