2008年7月28日月曜日

Bertone & Brockbank

Dsc00698
実家に残っていた"Bertone & Brockbank"をせしめる。
これは60年代後半に、Bertoneがパブリシティ目的でRussell Brockbankをトリノに招いて描かせたもの。Brockbankによると、Nuccio Bertoneから申し渡されたことは事実上ひとつ;20以上の面白い絵を提案すること。


Dsc00701
果たせるかな、有名なCanguroの絵(三日三晩恋焦がれて、明くる晩に乗り逃げてしまう・・ほどBrockbankが恋焦がれた)を除いて、全てBertoneの工員やミスを笑いのネタにしたもの。イギリスに帰って絵を描きはじめたときに、Brockbankはまず、各工員がいかに熱心かつ真面目に仕事をしているかを忘れるよう努力したと述懐している(さもなくば、ネタにできないので)。
そんな内容にもかかわらず、Bertone側の検閲も特段なかったという。さすがだ。


その後、おそらくこのBertone版の成功をみたM-B社は、StuttgartにBrockbankを招く。Brockbankが描いた内容とは、横柄なtypical Merc driver/passengerをネタにしたものばかり(まあ、事実だったのだろう)。StuttgartはPRに使うこともなく、多分上層部の怒りを買ったBrockbankも二度と呼ばれることはなかった(ただし、全集で見ることができる)。



短期的なROI的観点のみでの効果検証、関係者のfringe benefit優先のイベント/スタッフィング。携わる人々の腹のくくり方やハートの大きさで、branded entertainmentはどんな方向にも変節してゆく。
まだbranded entertainmentという言葉さえなかった時代でも、このBertone & Brockbankはクライアントの度量とコミュニケーションに対する理解の深さがカギであることを教えてくれる。



これらの絵を見ていると、何も取り繕っていないのに、Bertoneのクルマやヒトが好きになってきたでしょ。
そう、それで十分なんです。



10 件のコメント:

  1. 当時、Canguroの絵を見た人は皆「ありゃ!オレが描かれている」と思ったコトでしょう。
    しかし、作品を描く側と依頼する側双方が「大人」だとこうも良いモノが出来るのですねぇ。 片側が「大人」でない場合は、R-RとM-Bの睨み合いの絵を見て激昂する・・・?

    返信削除
  2. >CLOTさん
    このオトナな関係って、クリエイター同士の敬意なんでしょうね。
    よくビジネスサイドがクリエイティブを理解しない(あるいは使う言葉が違う)ということで、相互不信になることがままありますが、M-Bとの関係はそちらに該当するのかも。

    返信削除
  3. Brockbank全集、できればみてみたいです。
    イレブンネタも結構あるらしいですが・・・

    返信削除
  4. 氏のパーソナリティを理解しているのなら、MBをモチーフとした仕事を依頼すればどういう結果になるか判りそうなのですが・・・。
    もう昔ですけど、'99年ルマンのCLRの事故を中継で見たとき、最初に思ったことはブロックバンクが元気ならば、ということでした。
    “わが社は伝統を重んじるのです”なんて・・・。

    返信削除
  5. "Bertone & Brockbank"
    おーっ!
    表現が古いのですが、いわゆるスノッブな関係と申しましょうか、暗黙の了解と申しましょうか・・・。
    「許す」と「許される」が懐を探らなくても良い関係性を築いていた良き時代だったのでしょうねぇ?
    ご実家には、まだまだお宝が出現しそうですねぇ?

    返信削除
  6. 当時のCARグラフィックにも、紹介されましたネ。
    ベルトーネもメルセデスベンツも。
    なんど見直しても、飽きませんね。

    返信削除
  7. 子供の頃は今と違い外国の文化を知る手段が限られていて、例えばテレビの場合は兼高かおる世界の旅 、セサミストリート、世界の料理ショー、すばらしい世界旅行だったりしたものですが、雑誌の場合はCG誌のブロックバンクがとても印象的でした。そのため最初に行く外国はイギリスにしようと本当に思い込んでいました。
    少し脱線しますが、何年か前にNHKが放映したクラッシュというイギリスの(BBC?)自動車事故の番組があって、そこで教習所の教官がこんなことを言っていました。
    ・もし、ガソリンタンクがクルマのいちばん前にあれば、みんな非常に気をつけて運転するだろうね。
    ・もし、エアバッグの代わりに鉄のスパイクが飛び出すようになると、みんな非常に気をつけて運転するだろうね。
    どうも自分は、そういう考え方に、ブロックバンクを感じてしまいますが、どうでしょうか?

    返信削除
  8. ああ・・ナマで見たい・・・
    ブロックバンクのユーモアはきっとゲルマン系には通じない種類のものなんでしょうね。
    あと、フランス人にも。(理解できてもしらんぷりしそう)
    不思議とイタリアやスペインあたりには受け入れられそうな気がするのはなぜでしょうか・・
    当時にはもうItarian Jobって言葉あったんでしょうね。
    canguroのネタ以外はそこを突いた気がします。
    受け入れたほうにもそれを認める事実があったのかも・・

    返信削除
  9. >11さん
    古本など探すと、結構出てきますよ。原書を洋物で買うのも◎。でもelevenは見たことあったかな・・・?
    >ua2さん
    MB担当はよく分かったやつだったけど、上層部のOKがもらえなかったとか?それでMBのドライバーの意識を変えようなんて思ってたとしたら、愉快。
    >BT16Aさん
    お互いの敬意の上に成り立つ信頼関係の好例ですね。薄っぺらいコラボや代理店の臭いがしないのもいいですね。
    >おわんさん
    例の雑誌は、この現物をスキャンして使ったようで、鉛筆のナンバリングなどがありました。これ、ウチにあっていいのだろうか。
    >ichi-xさん
    おっしゃるとおりこの教習所の教官の、逆説的な因果の発想はBrockbank的かもしれませんね。
    情報が少なかった時代は、海外のものを紹介するだけで人々の記憶に残すことができのだなと思います。子供のときの刷り込みの強さで、今でもGraham Kerrなんか大好きですが、今の子供が大きくなるとどうなるんだろう?
    >白猫#35さん
    うーん、ユーモアは案外全世界通じるかもですよ。単にMBの「最善か無か」の社是においては、Brockbankを評価することはできないでしょうけれどもね。
    イタリア人の大半は、実はシャイで実直なヒトですから、ハリウッド描くところのカメラを提げた出っ歯の日本人みたいな例を、われわれが苦々しく思うのと同じ心持ちで見ているかもしれません。

    返信削除
  10. >11さん
    ブロックバンク傑作集の88頁に、それらしき絵が掲載されています。
    ��フロントフェンダーの切り欠きがDB3みたいなので違うかもしれません)
    ヤフオクで出品されていますが
    http://page13.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/r37794045
    高いです。気長に捜すのがいいかも。
    画像をスキャンして、blogにあげても構いませぬがどうしましょう?

    返信削除