2011年8月14日日曜日

Cars 2, Pixar, Motorama

カーズ2を観ました。
小学生以来映画館でアニメを見ていない僕の重い腰を上げさせるほどに、周囲(=ヲタなヲジサンたち)の評判がとても高かったのですが、期待に違わず本当に楽しみました。

コドモにもわかりやすいプロットと、オトナの意地悪な目にさえも耐えうる手抜きのないクリエイティブディテール、特に登場するクルマのキャラクター設定の適切さに感銘を受けると思います。つまり、Good for boys of all agesです。

●本物を知っている、持っていること



Pixarの社員たちはこの10年ほどの間、毎年"Pixar Motorama"というタイトルで、自分たちのクルマによるショーを開いています。ちなみにMotoramaとは、もともと1949-61年にGMが開いていたモーターショーの名前で、ジェットエイジを意識したショーカーを通じて当時のアメリカの子供たちに夢を与えたものです(もちろんオトナに向けた新車販売の起爆効果も)。
Pixar Motoramaの写真(たとえば2009|2010|2011)を見ると、8C2900風6C?やら、T70 Spiderやら、Tatraやら、FrazerNashやら。特に2010年はHudson HornetやZundappやAMC Pacerなども(ちょっとネタバレか)。
要は、クリエイティブディテールとクルマごとのキャラクター設定は、本物を知っている本当に好きなスタッフがいてこそのことです。まあ、ほとんどすべてがトリビュートかパロディだけど、それはそれで良しとしましょう。

●答えを与えず、考えるきっかけを与えること
ストーリー自体は、ふたり(2台)の友情と冒険を通じた成長が主題なので、クルマでなくとも表現可能です。Toy Storyにも共通しますが、物体に感情を与えたという点では、西欧社会的に稀有なキャラクターです。ただしモノが感情を持ったという設定自体への答が用意されていないことも、Pixarらしいですね。観たものをどう感じるかは、観たヒトそれぞれに委ねられています。

別作品のファインディングニモでは、主人公のニモは生まれつき片側だけヒレが小さく、父親がそれをとても心配するくだりがあるそうです。しかしそれ以上のこのことには言及されません。監督はインタビューで、この話を何かの機会にうっすら覚えているぐらいでいいと語ったそうです。ヒレの話を障がい児になぞらえる深読みは簡単ですが、その解釈は受け手に委ねています。もしコドモに訊かれたとしたらしめたもので、そのことを親子一緒に考える機会となるわけですね。
もしカーズの設定で日本のプロの方々が創ることになったら、適当に乗り捨てたクルマの魂に追われるホラー(モノを大切にしろという日本昔ばなし的な教条系)とか、痛車の化身となったロリっぽい彼女との恋愛成就(これはひとつの夢なのかもしれないけど・・オエッ)のように、モノが感情をもった直接的因果に対し、安直な答をひとつ用意するんじゃないでしょうか。
昨今は特に、ちょっとでも伏線が散らばったり、台詞で機微を理解する必要がある作品は、「むずかしくてわかんなーい」という不感症的なレビューが台頭するようです。それを恐れた結果か、昨今ああいう邦画(と番組)揃いですが、受け手に答を与えつづけてきてしまったことの所産ではないかと考えています。

(余談)
字幕は基本的に原文に正確な翻訳でしたが、欠陥車やボログルマを意味するlemonをコショー(故障)と訳されたのには若干違和感を感じました。壊れる前からlemonはすでにlemonなんですよね(現存するメーカーをこき落としていないのは、さすがネズミーらしい配慮w)。
あと、せっかくmaking territoriesすぐ壊れるLucasの電装品のことを引き合いに出しているので、warm beerを飲んでいるイギリスをこき下ろしてもよかったかな、と思いました(don't drink'n driveとは相反するから×だったかな)。

どんどん脱線してしまいましたが、カーズ2はオトナにもコドモにも楽しめる作品でした。少子化というか、クルマに興味を持った子の少子化が激しい昨今ですので、ぜひearly educationのために足を運ばれることをおすすめします。
他所でも記しましたが、これで少しでもクルマが好きなコドモが増えてくれるといいなと心底願う次第です。

4 件のコメント:

  1. エスロクレーサー2011年8月14日 23:20

    なるほど、字幕版を見るとそういう見方もできるわけですね。
    でも吹き替えも破綻無くそこそこに楽しめました。
    でも欠陥車を悪玉に設定するところ辺りに胡椒が効いていました。

    返信削除
  2. Motoramaのタイトルを見て、そういえば当初つけられていた某誌の名前を思い出しました。それがそのままだったら、今は「Motora小僧」なんて言われたのでしょうか?

    返信削除
  3. あ、私もたった今見てきたところです。 子供は子供なりに、車好きもそれなりに、そしてエンスージアストにとっては優越感をくすぐる小技までもが伺える用意周到な作品でした。 社会のいやらしい一面が希釈されながらさらりと表現されてるのも、エンターテイメントとしては良かったかな。

    返信削除
  4. >エスロクレーサーさん
    コメントにもコショーが効いている(笑
    おそらくですが、吹き替え版は聞き言葉としてさらにわかりやすく作っていたと思いますよ。
    >ichi-xさん
    さすがよくご存知で。かくいう僕も、モトラマ見本版は見たことがないです。当時は語感的に新しいトーンだったのですが、今となってはキネ旬に通じる旧さですね・・
    >q.M.pさん
    そうそう。エンターテイメントとしては相当いいですよね。クリエイティブやエピソードのディテールが丁寧で、観点が分かれるポイントがあるので、それらに気づくデリカシーさえあれば話が広がるんですよね。

    返信削除